ラットの動物実験で発がん性が問題になり、一度使用が禁止されました。
名称:サッカリン(Saccharin)
用途名:人工甘味料
ADI:サッカリンは0〜5mg/kg、サッカリン系は3.8mg/kg
使用基準:あり
表示:甘味料(サッカリン)、甘味料(サッカリンナトリウム)、甘味料(サッカリンカルシウム)
サッカリン(Saccharin)
概要
サッカリンは1879年に低カロリー人工甘味料として開発されました。
砂糖の300〜500倍の甘さで、水に溶けにくい性質があります。
サッカリンの甘みには若干の苦味があるものの、糖質系の甘味料と合わせることで味の矯正ができます。
日本ではチューインガムでのみ使用が許可されています。
発癌性問題
サッカリンはラットを使った動物実験で、雄ラットのみの発がん性(膀胱がん)が問題になり、過去に一度、使用が禁止されています。
その後、他の様々な動物による実験が行われた結果、雄ラット以外の発がん性は認められませんでした。
そのため、発癌性はサッカリンに含まれる不純物の影響ではないかということになり、現在では、サッカリンが発癌性物質のリストから外され、食品添加物としての使用が許可されました。
それでも発がん性は気になるわ。きちんと調べて安心させてほしいね。
糖尿病発症のリスク
近年、サッカリンを含む人工甘味料の摂取が、糖尿病発症のリスクを高めると報告されています。
人工甘味料はブドウ糖が含まれていないので血糖値やインスリン分泌に直接影響を与えません。
しかし、人工甘味料を摂取することによる、下の3つの点が糖尿病発症のリスクを高めるといわれています。
- 舌の味覚の麻痺
- 腸の味覚の麻痺
- 腸内細菌そうの変化
舌の味覚と腸の味覚
人工甘味料を摂取しても血糖値の上昇は起こりません。
しかし、エネルギーの恒常性が崩れて摂食行動などが促進され、むしろ太りやすくなってしまいます。
また、人工甘味料の強い甘味に慣れてしまうと、甘味に対する感覚が麻痺して、もっと甘い刺激がほしくなってしまうのです。
最近では、味覚を感じる細胞が舌だけでなく、腸管にも存在することが明らかになりました。
腸管で甘味を感じると、腸から分泌されるインクレチンというホルモンがインスリン分泌を促進したり、腸からの糖の吸収が促進されたりするのです。
腸管での味覚刺激が糖代謝に影響する可能性が考えられています。
腸内細菌そうの変化
マウスにブドウ糖または人工甘味料の一つであるサッカリンを投与すると、サッカリンを投与されたマウスでは、糖負荷試験で耐糖能異常が認められました。
人でもサッカリン投与により耐糖能異常を認められたものがあり、サッカリンの投与前後で腸内細菌そうの変化が認められました。
サッカリンによる腸内細菌そうの変化により耐糖能異常が生じていると考えられます。
人工甘味料には、肥満や糖代謝への悪影響があるかもしれないんだね。しっかり調べてほしな。
低カロリーだからといって、人工甘味料が使われているジュースやお菓子を毎日のように食べるのは良くないですね。
サッカリンナトリウム(Sodium Saccharin)
水に溶けにくいサッカリンを、ナトリウム塩にして水によく溶けるようにしたのがサッカリンナトリウムです。
甘味度はサッカリンと同程度で、漬物や醤油、酢、ソース、清涼飲料水、乳飲料、アイスクリームなどに使用されています。
サッカリンカルシウム(Calcium Saccharin)
平成24年12月に添加物の指定がされた新しい添加物です。
サッカリンナトリウムと同じく、水によく溶け、使用される食品も同じです。
甘味度は他のサッカリン系と同じくらいですが、サッカリンナトリウムに比べて、わずかに後味が少なく、甘味の質がまろやかです。
まとめ
サッカリンには発がん性が認められた過去があります。
またサッカリンを含む人工甘味料は肥満、糖尿病のリスクを高めることが報告されています。
サッカリンが使用されているジュースやお菓子の常食には気をつけましょう!
参考文献 人工甘味料と糖代謝|(独)農畜産業振興機構 サッカリンカルシウムの食品添加物の指定に関する部会報告書(案)
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