レシチン(乳化剤)【食品添加物事典】

食品添加物事典

人間の身体にリン脂質として存在する物質です。

原材料表示に「乳化剤(大豆由来)」と書かれているものはこれにあたります。

名称:植物レシチン(Vegetable lecithin)、卵黄レシチン(Yolk lecithin)、分別レシチン(Fractionated lecithin)、酵素分解レシチン(Enzymatically Decomposed Lecithin)

用途名:乳化剤(既存添加物)

ADI:なし

使用基準:なし

表示:乳化剤

レシチン

レシチンとは

レシチンとはリン脂質の一種で、人間の身体に存在する物質です。細胞膜などの生体膜、脳組織、神経組織の構成成分として、極めて重要な成分です。

レシチンは、天然の乳化剤として食品のみならず、工業用品、化粧品、医薬品などに幅広く使用されています。日本において、レシチンとはリン脂質全般として捉えていて、食品に使用されるのはいくつかのリン脂質の混合物になります。

レシチンの健康効果

  1. 動脈硬化の予防
  2. 認知症の予防・治療効果
  3. 記憶力の向上
  4. ADHD症状の改善
  5. 肝機能を高める
  6. 美肌効果

レシチンなどのリン脂質は、悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やす働きがあります。それによって動脈硬化の予防や美肌効果があるといわれています。

また、レシチンに含まれるコリンという成分が脳内神経伝達物質のアセチルコリンの原料となり、記憶力の向上や認知症の予防、ADHD症状の改善が期待できます。

レシチンには、肝臓の細胞を増やす作用もあります。レシチンに含まれるコリンには、肝臓の脂質代謝をサポートする作用があります。その結果として、肝機能を高める効果が期待できます。

これらの効果により、添加物としての不安度は低いものとなっています。

植物レシチン

植物レシチンは、主に大豆油の製造工程で分離されるものです。菜種からも得られます。卵黄レシチンと比べて価格が安く、マーガリンやショートニング、乳製品、チョコレート、麺類などに使用されています。

大豆レシチンは、血液中の滞在時間が長いのが特徴です。血管に作用する時間が長いため、動脈硬化や高血圧の改善効果を期待できます。

ただし、添加物として摂取する量はわずかなので、その効果を得られるかは疑問です。植物レシチンの食品への添加は健康効果が目的ではありません。

卵黄レシチン

卵黄レシチンは、主に鶏卵の卵黄から抽出されます。植物レシチンとは各リン脂質の割合が異なり、植物レシチンに比べてフォスファチジルコリンの含有量が高いのが特徴です。

植物レシチンとは各リン脂質の割合が異なり価格が高価になります。

そのため、あまり食品には使用されず、医薬品として使用されています。

分別レシチン

分別レシチンは、植物レシチンと卵黄レシチンに含まれる特定のリン脂質濃度を、有機溶剤を利用して変化させたもので、従来のレシチンにはない特性を発揮します。

水に溶けやすいレシチン、油に溶けやすいレシチンが製造されています。

アイスクリームやマヨネーズ、飲料、栄養補助食品などに使用されています。

酵素分解レシチン

酵素分解レシチンとは、レシチンを酵素分解して機能を向上させたものです。酵素分解植物レシチンと酵素分解卵黄レシチンがあります。

マーガリンやショートニング、マヨネーズ、パン、ケーキ、麺類などに使用されています。

まとめ

レシチンとはリン脂質の一種で、人間の身体に存在する物質です。

「乳化剤(大豆由来)」や「乳化剤(大豆レシチン)」など、はっきりと表示がある乳化剤ならば安心することができますね。

参考文献
既存添加物名簿収載品目リスト
レシチン|辻製油株式会社
レシチンとは?レシチンの効果や生理作用、添加物としての役割まとめ

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