その調味料、本物?偽物?

食の安全

あなたが使っている、その調味料は本物ですか?

実は調味料にはそれぞれ本物と偽物があるのです。

本物の調味料とはなにか、偽物と言われる調味料のなにが問題なのか、どんな調味料を選べばいいのか、説明していきます。

しょうゆ

あなたは安いからという理由でしょうゆを選んでいませんか?

もしスーパーの特売で手に入れた激安しょうゆだったなら、それは本物のしょうゆではなく「しょうゆ風調味料」かもしれません。それは偽物。本物のしょうゆではありません。

本物のしょうゆ

本物のしょうゆの原材料はシンプルです。

しょうゆの原材料(例)

大豆  小麦  

しょうゆは煎った小麦や蒸した大豆で麹を作り、それに塩と水を加えてもろみを作り、そのもろみを樽の中で6ヶ月〜2年かけて発酵させて、それを搾ってようやく出来上がるものです。

しょうゆ風調味料

しょうゆ風調味料はしょうゆではありません。原材料にはたくさんの文字が書かれています。

しょうゆ風調味料の原材料(例)

脱脂加工大豆  小麦  食塩  アルコール  アミノ酸液  pH調整剤  カラメル色素  など

脱脂加工大豆とは、大豆から油分を除いたものです。油分を抜く時にヘキサンという溶剤が使われます。

脱脂加工大豆に塩酸を加え高圧で加水分解処理をすると得られるのが、大豆タンパク加水分解物です。これは添加物ではありませんので、法令による基準はありません。

脱脂加工大豆を使うと生産効率がよく、うま味の高い醤油を作ることができるといわれています。

しかし、大豆タンパク加水分解物質のままでは、しょうゆのような見た目や味にならないので、様々な添加物を使って「しょうゆ風」を作り出しています。

日本食の基本とも言えるしょうゆは、食卓の味のレベルを決める重要な役割を担っています。

本物のしょうゆの美味しさを味わいたいですね。

マヨネーズ

今、あなたがマヨネーズだと思って使っているものは、実はマヨネーズではないかもしれません。

スーパーのマヨネーズのコーナーに並んでいる商品の表示ラベルをよく見てください。実は3種類の商品があるのがわかります。

  1. マヨネーズ
  2. サラダクリーミードレッシング
  3. 半個体ドレッシング

3つの原材料表示の例を下にまとめました。

名称原材料の例添加物の例
マヨネーズ食用植物油脂、卵黄、醸造酢、食塩、香辛料調味料(アミノ酸)、香辛料抽出物
サラダクリーミードレッシング食用植物油脂、卵、醸造酢、食塩、砂糖、香辛料、たん白加水分解物質増粘剤(キサンタンガム)、調味料(アミノ酸)、香辛料抽出物
半固体状ドレッシング食用植物油脂、卵、食塩、醸造酢、砂糖、濃縮レモン果汁、たん白加水分解物質グリシン、乳化剤、調味料(アミノ酸等)、
増粘多糖類、カロチノイド色素、香辛料抽出物、酸味料

マヨネーズはJAS規格で定められた水分量や油脂含有率などの基準があります。それに当てはまらない、マヨネーズとは呼べない商品が「サラダクリーミードレッシング」と「半固体状ドレッシング」です。

サラダクリーミードレッシングと半固体状ドレッシングは、油を減らした分を水でかさ増しして、増粘剤で固めています。水分が増えると味が薄くなってしまうので、砂糖や添加物を使ってマヨネーズ風の味に調整しています。カロリーオフのマヨネーズの正体はこれです。

マヨネーズはカロリーが気になるから…と言って、安易にカロリーオフ商品を選ぶのは危険です。

ソース

最近、スーパーのソースコーナーはとても充実していますね。中濃ソース、ウスターソースなど様々なソースが販売されています。

その中で安心なソースと不安なソースの原材料表示を比較します。

 不安なソース

品名:ウスターソース
原材料名:野菜・果実(トマト、たまねぎ、りんご、その他)、砂糖、醸造酢、食塩、たん白加水分解物、香辛料、酵母エキス/増粘剤(加工でん粉)、カラメル色素、調味料(アミノ酸等)

 安心なソース

品名:ウスターソース
原材料名:野菜・果実(トマト、たまねぎ、にんじん、プルーン、キャベツ)、醸造酢、砂糖、食塩、香辛料、魚醤、鰹節エキス、昆布粉末、本みりん、オイスターエキス

カラメル色素で色づけしたり、たん白加水分解物質で味をつけたものは不安が残ります。

カラメル色素のⅢ型、Ⅳ型には発がん性が認められているイミダゾール化合物が含まれている可能性があります。原材料表示にはカラメル色素のⅠ型〜Ⅳ型のどれが使われているのかの記載はありません。

たん白加水分解物質は、クズ肉や野菜などを塩酸で分解して作った調味料です。製造過程で発がん性が懸念される物質が生じることが確認されています。たん白加水分解物質は添加物ではありませんので、法令の基準がありません。

ソース自体、糖分や塩分多く含まれる調味料です。できるだけ化学調味料や合成甘味料が使われていないものを選びましょう。ソースのかけすぎには注意です。

みりん

みりんも日本料理に欠かせない調味料の1つですね。実はみりんには4つもの種類があるのです。

  1. 本みりん
  2. 調整本みりん
  3. 醸造調味料みりんタイプ
  4. みりん風調味料

それぞれの特徴をまとめました。

種類原材料アルコール
度数
特徴
本みりんもち米、米麹、本格焼酎14%前後蒸したもち米と米麹を合わせて焼酎を加えて仕込み、搾って、半年から1年間以上、貯蔵熟成させて作られます。
アルコール分を含み、ほのかに甘味があり、そのまま飲んでも美味しいお酒です。酒類販売免許がないと販売できません。
調整本みりんもち米、米麹、醸造アルコール、糖類14%前後蒸したもち米と米麹に、醸造アルコールと水アメなどの糖類を加えて、香りを調整し、短期間で造られています
本みりんの製造と比べて、同じもち米の量から約3倍ほどの量を造ることができます。
アルコール分を含み、甘さが強く、美味しくはないお酒です。酒類販売免許がないと販売できません。
醸造調味料
(みりんタイプ)
水あめ、醸造調味料(米、米麹、食塩)、
食塩、アルコール
8〜20%程度化学的に製造される、みりんに似せた調味料です。
米や雑穀を糖化し、一部アルコール発酵もさせた調味液に、醸造アルコールと塩を加えて造られます。
アルコール分を含みますが、塩を加えているため酒類ではありません。味は美味しくありません
みりん風調味料水あめ、米・米こうじの醸造調味料、
米黒酢 / 酸味料
1.0%未満ぶどう糖や水アメなどの糖類に、うまみ成分や酸味料、香料を混ぜて作られます。みりんに似せた調味料です。
アルコール分はほとんど含みません。味は美味しくありません

アルコール分を含む調味料は素材の臭みを消して味の浸透性を高める効果があります。

しかし、アルコール分を含まない調味料は甘味だけを足すことになるので、レシピで本みりんの分量と同じようにみりん風調味料を使うと、料理の味を台無しにしてしまいます。

最近はカロリーオフや糖質オフをうたったみりん風調味料もあります。

原材料は「発酵調味料、エリスリトール、難消化性デキストリン、ぶどう糖、食塩、酵母エキス/調味料(アミノ酸)、酸味料、甘味料(ステビア)」などです。

化学的に合成された原材料、添加物だらけの調味料には気をつけましょう

まとめ

本物の調味料は、伝統的な製法で作られているものが多いです。

そのため、製造に長い時間がかかったり、厳選された原材料使われていたりして、価格が比較的高めに設定されています。

しかし、本物の調味料を使うことで料理の味は格段に美味しくなり、安心して食事をすることができます。多少高いと感じたとしても、ぜひ本物の調味料を選びましょう。それが日本の伝統的な技術を守ることにもつながるはずです。

参考文献
ドレッシングの日本農林規格
みりんの基礎知識|日本名門酒会

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